目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「あ、《福富》ですか?」

「うん、そこ。どう?」

「はい!大丈夫です」

百合は安心した顔をして頷いた。
その様子を見て、三国さんとプランを練って本当に良かったと思った。
フレンチレストランへ連れていこうと言った俺の案を、三国さんは全否定したのだ。

『良く知らない男とフレンチ!?いけません。壁を作られるだけです。いいですか?まず近場で、彼女の知ってる店がベストです』

そんなバカな、と思ったが結果は……。
三国さんの言う通り、百合は安心して笑顔を見せた。
今、助手席の彼女は、最初の心許ない表情からは考えられないくらいリラックスしている。
俺が横を向いて笑いかけると、同じように微笑み返してくれる。
なんだ、これは……最高じゃないか!
ハンドルを握り締めながら、うっすらと掌に汗をかく。
相当、舞い上がっているな、俺!
そんな素振りを露程も見せず、至ってクールな自分を演出しながら、夢のような短いドライブを堪能するのである。
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