目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
百合は緊張してるのか、車中で口数が少なかった。
最初は手土産の件で怒っているのかと思ったが、今はどうも違うようだ。
車を停めた所から玄関前までは、庭もなく、地面も舗装などされず土が見えたままだ。
どこにでもあるありふれた玄関の前に立つと、右側後方に小さな畑が見え、そこには紫の何かが実っている。

「あ、お茄子ね?」

百合が指差した。

「茄子……」

なす??
俺は一度表札を確認した。
尋ねた家を間違えたかもしれない、と思ったからだ。
あの父が!野菜を育てるなんてあり得ない!
天変地異が起こっても、それはない!
だが……表札には『一色雅晴』と書かれていた。
一色だけなら別人かとも思うが、ご丁寧にフルネーム。
もう確定だ。
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