目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「早すぎるってことはわかってる。でも、君となら楽しい人生が過ごせると思ったんだ」

「楽しい人生……ですか?でも、私大して面白いことも言えませんし……」

「……いや、そういう意味じゃ……あ、あのな?もしかして……俺のことがあまり好きじゃ……ない?」

一色さんは自信なさげに首を傾げた。
初めて見るその表情に、私の心音が跳ねる。
こんな、不安そうな顔もするんだ……その新しい発見に何故か心が踊った。
そして、自分にそういう趣味があったのかと不安にもなった。

「そんなことないです!一色さんには感謝もしていますし……」

そう。
感謝している。
だからこそ、適度な距離でのお付き合いが望ましかったのに。

「……じゃあ……好き?」

すがるような視線を向けられ、私はかなり困惑した。
一色さんて、恋愛経験豊富なはずよね?
嫌いな人と夕食を一緒に食べたいなんて人はまずいないと思うんだけど……手練れなのに、そのことに気付かないのかな……?
でも、そう思ったことは口は出さず、やんわりと「好き……です」と必要なことだけを返した。
< 236 / 285 >

この作品をシェア

pagetop