目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
すると一色さんは、安堵と喜びが混ざりあったような笑顔を浮かべた。
心の底から喜んでいるような表情を見せられて、こっちはとても気恥ずかしい。
そして、気恥ずかしいあまり、唐突に口走ってしまった。

「実は、私の初恋は一色さんなんです」

「は??」

一色さんは変な声を出した。
ですよね、突然ごめんなさい、と謝りつつそれを楽しんでいる私もいる。
たぶん眼中になかったし、思いもよらなかったんだろう。
私は更に続けた。

「あの頃、父の生徒として家にやって来ていた一色さんはとても素敵でしたから。でも、私とは別の世界の人だとも思っていました。いつも、綺麗な彼女さんが側にいましたし……」

「あ、それは……」

反論はさせません。
強い気持ちで制すると、一色さんは押し黙った。

「食事を作ると美味しいと言って食べてくれた……それだけで幸せだったんです。だから、どこまで行っても、一色さんは私の憧れのまま……結婚なんてそんな……釣り合いませんよ」
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