目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「教授かー……教授なら仕方ないけど……それで?出張ついてくる?」

「……いや、それは遠慮します」

この間、ちょっとそこまでの感覚でアメリカまで連れて行かれたことを忘れてはいない。
当初はすぐに帰る予定だったのに、何だかんだで結局2週間滞在し、観光や買い物に連れ回された。
そしてその間、ぬか床を預かってもらっていた三国さんにも迷惑をかけてしまっている。
更に「すみません、ぬか床を混ぜてください!」と懇願する羽目になり、申し訳なさで一杯だったのも思い出した。

「えー!行こうよー!ドイツだよ?」

私の肩にガッツリとしがみついたまま、蓮司さんはゆるゆると体を揺する。
子供ですか……?
確かにドイツは魅力的ですけど。
美味しいものが沢山ありそうだし、町は綺麗みたいだし、行ってみたいとは思う。
でも、生来の出不精が災いしてか、私の腰は重い。
そして、言葉がわからない所は怖い……のです。

「うーん。ごめん。お留守番してるね?」

と言うと「えーー」というつまらなさそうな声が耳元から聞こえた。
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