目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「そうですか?今あなたが言ったようなことは、もう解決済みの案件です。あと、蓮司さんと今も続いているというのも嘘です」

「大した自信だけど、その根拠は?」

「そんな暇がないからです。私といないとき、仕事の時は常に秘書の方が側にいます。仕事が終わると、蓮司さんは直帰するので!」

「秘書が嘘を付いてるとは思わない?」

女は意味深に笑った。
まるで、秘書を信じているの?と問われているようだ。
だけど、それに関して私の答えは決まっている。

「思いませんよ。だって秘書の方はそういう嘘を心底嫌う人なので」

社長秘書の三国さんは、蓮司さんの信頼も厚い優秀な人で、私とも仲が良い。
当初から何かと世話を焼いてくれるし、心配してくれている、私達2人の姉といった存在だ。
その三国さんに疑惑の目を向けさせるなんて、どういうつもりなんだろう!
私の怒りは最高潮だった。

「……ふん、そう……目障りね、三国日菜子……」

「え……なんで名前を……」

女がふと口にした言葉を私は聞き逃さなかった。
この人は三国さんを知っている。
しかも憎々しくも思っている。
かなり、事情を知っていて、内部の事情にも詳しいのではないか?
その事について尋ねようと口を開くと同時に、プッ……と電話が切れた。
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