目覚めると、見知らぬ夫に溺愛されていました。
「なぁ……ほんとにいいのか?もう少しゆっくりしてもいいんだよ?」

と、甘々の旦那様がのたまう。
それに対して、私は毅然として言った。

「ダメですよ。社長は社員のお手本でないと!働かざる者食うべからず!です!」

「厳しいなぁ。三国さんが2人いるみたいだ」

「あ、それ、うれしい!私の憧れですからね!」

「……やめてくれよ。百合は、可愛い百合でいて欲しい……俺の癒しでいてくれ……」

頭を抱えた蓮司さんは、すがるようにこちらを見た。

「それ、三国さんが可愛くないと言ってるように聞こえますけど?」

「うっ…………さぁ、車へ行こうかー」

ごまかした!?
まぁ、そんな態度をとっても、三国さんをとても信頼してることは知ってるんですけどね!

飄々とした蓮司さんの背中を見ながら、階段を降り、リビングを抜けて、ロビーに着く。
たった3日間、短い時しか過ごしてないのに、私には随分時間が経ったように感じる。
そして、ここがとても暖かい場所に思えて、寂しさが込み上げた。

「また来ようよ」

「うん」

見下ろす蓮司さんを、私は見上げて頷く。
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