婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 最後は新さんの「分かったから」という言葉で締めくくられ通話は切れた。

 携帯電話をポケットにしまってからもう一度重苦しい溜め息をつくまで、私はずっと目を逸らさずにいた。

「美麗に会ったのか」

「先日マンションまで訪ねてこられました」

 僅かに眉根を寄せた顔で、「それで?」と続きを促される。

「フランスに行かれたそうで、新さんへと白と赤のワインを二本いただきました。ワインセラーに入れておきましたが、気づかれませんでしたか?」

「いや、まったく……」

 たまたま最近はワインを飲んでいないらしい。食欲がない私に気を使ってか、食事も私がベッドで横になっている時に食べている。

「すぐにお話しなくてすみません」

 まずは謝罪からして、白石さんと会った日を思い出しながら説明する。

「新さんが不特定多数の女性とお付き合いがあり、結婚後は愛人をつくりたいと考えているというのも聞きました。それで白石さんが、自分が愛人になるのを認めてほしいと」

 苦いものを飲んだような顔をして、「茉莉子はなんて答えたんだ」と聞かれる。
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