婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 さっきから質問ばかりで新さんからの説明はない。

 なんだかずるくない? 私の出方を見てから、自分の身の振り方を探っているように見えるわ。

「どう答えるのが正しかったのでしょうか」

 あてつけのような、よくない言い方になった。やり場のない後悔が胸をちくちくと痛めつけていると、長い腕が伸びてきて手を握られた。

「嫌な思いをさせて悪かった」

 手のひらからぬくもりを感じて切なさに駆られる。

 こうなっても新さんが好きで、どう頑張っても嫌いになれそうにない。

「茉莉子の時と同様に、美麗とも婚約破棄をしたいと考えていた。だから茉莉子にしたように、あえて素の顔を見せて嫌われようとした」

 そっか、だから白石さんにも無愛想な態度なのね。

「でも美麗は少し変わった性癖を持っていて。俺に冷たくあたられたり、酷い言葉で罵られたりするのが好きだと言いはじめた」

「えっ……」

 常識が通用しないというか価値観がずれているとは感じたけれど、数々の頭を悩ませる発言はそういった心理状況だから生まれたのか。
< 128 / 166 >

この作品をシェア

pagetop