婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 そしてついに運命の日を迎えた。

 実家が近いので里帰りはせず、出産後も新さんとマンションで変わらず過ごす予定だ。

 予定日を三日後に控えているので、心配をしているお母さんが毎日マンションにきてくれている。

 自分の車で病院まで行けるようにと、お母さんは今日まで何回もマンションと病院を往復して運転の練習を重ねていた。

 今ではかなりの腕前で、一昨日の検診もお母さんに連れて行ってもらったくらい。なんとも頼もしい。

 午前九時を過ぎた頃。お母さんと一緒に洗濯物を干し終え、ソファに座って休憩していると下半身に違和感を抱いてトイレで確認する。

 これって……。

 下着が濡れているのだが、色もなく尿の匂いもしない。というか、今もなお漏れ出てくるのを止められらない。

 ドキドキと速まる鼓動を全身で感じながら、お母さんのもとに駆け寄った。

「お母さん、もしかしたら破水したかもしれない」

「え! 本当に!?」

「ちょろちょろなにか出てくるの。とりあえずナプキンをつけているんだけど」

「お腹は痛くない?」

「うん、なんともない」

「これから陣痛が始まるかもしれないわ。すぐに病院に行きましょう」

 入院の用意はすでにお母さんの車の中に置いてある。母子手帳や貴重品など、細々とした身の回りのものを手早くまとめて家を出た。
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