婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 手を繋がれたのは全然嫌じゃない。だけど緊張し過ぎて手には汗が滲むし、身体がガチガチに硬直している。

 恥ずかしい。新さんの手はさらっとしているし、とてもリラックスしているように感じるのに。意識しているのは私だけなんだよね。

 結局、最後まで私たちの手は繋がれたままだった。

 映画を見終わった後は、ここから十分ほどで着くという、新さんが予約を入れてあるレストランまで歩いて移動する。

 ポップコーンでお腹が膨れていたので、小腹を空かせるのにはちょうどいい。

「少し早く着くかもしれない」

「だったらのんびり歩きましょう」

 お昼休みの時間帯だからか、多くの会社員らしき人たちが休憩を取っている。映画館とは違って街中は人通りが多く賑やかだ。

 道沿いのテラス席に座るカフェの客人や、通りすがりの女性たちの視線が新さんに注がれているのは気のせいではないはず。

 今日の新さんの装いは、黒色のスラックスに革靴、ネイビーのシャツに同じく濃いネイビーのテーラードジャケットを羽織っている。

 全体的に落ち着いた雰囲気で、スーツ姿でもないのに大人で上品さがある。

 そりゃあ思わず見ちゃうよね。カッコいいもの。
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