婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 テラスといっても席は簡易的なものでなく、木製のテーブルに海を連想させる白色や青色を基調としたソファが並んでいて、私たちは対面式のふたり掛けに案内される。

 食事はすでに新さんがコース料理を予約しており、前菜の前にアミューズというお楽しみの料理がすぐに運ばれてくる。

 今日は冷たいスープのようで、いただきながら料理に合った飲み物をゆっくりと決めることができた。店側の丁寧な心意気にますます居心地がよくなる。

「本当に素敵なお店ですね」

「そうだな」

「以前にもこちらに?」

「昔な」

「物知りですごいですね。私は家族や友人たちに連れて行ってもらうばかりで、自分からどこかに、というのは基本的にないので」

 尊敬の眼差しを送っていると、素晴らしいロケーションにそぐわない殺風景な顔でジッと見つめられた。

「気にならないのか?」

「なにがですか?」

「俺が誰とここに来たのか」

 私が新さんの過去の恋愛について気に揉んでいるかもしれないと、気を使ってもらっているのよね?
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