婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
 そこまで考えているなんて驚きだ。

「気になるといえば気になりますけど。でも詮索されるのは嫌いですよね? 私もどうしても知りたいわけではないですし、わざわざ聞くほどでもないです」

「……そうか。まあ、仕事関係で来る機会があっただけの話だけどな」

「なんですかそれ。それなら意味深な聞き方をせずに言ってくれればいいじゃないですか」

 よく分からない言動に苦笑いをこぼす。すると、急に目つきを変えて刺さるような視線を送られた。

「ヤキモチを焼いてほしくて」

 心臓がドクンッと大きな音を立てる。

「ヤキモチ、ですか」

 えっと、それは、私に好意を持ってほしいって意味であっているよね?

 そこではたと思い出す。

 そういえば私に嫌われていると勘違いをしていたのよね。何度か俺が嫌いなのかと問われたし。

 真面目だし、整頓された部屋を見た限り几帳面のようだから、気にしすぎる性格の人なのだろう。

 私のような小娘の顔色をいつも窺っているのだと知って、なんだか新さんが可愛らしく見えてきた。
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