婚約破棄するはずが冷徹御曹司から溺愛宣言されました
「茉莉子もお菓子とか好きなもの買っていいから」

「いいんですか? じゃあお言葉に甘えて買っちゃおうかな」

 意気揚々とお菓子コーナーに行き、海外製のチョコレートやスナック菓子を手に取る。

「茉莉子はそういうのが好きなのか」

「はい。身体に悪そうなものが好きです」

 よほど意外だったのか、口には出さないものの目を丸くしている。

「……覚えておく」

 さっきの言葉のお返しだとしても嬉しい。

「ありがとうございます。海外出張に行く時のお土産、楽しみにしていますね」

 冗談めかして言うと、新さんは表情を緩めて目尻を下げた。

 自分で言うのもなんだけど、私たちいい雰囲気じゃない?

 今までがギスギスし過ぎていたのもあるけれど、今日一日でかなり壁が取り払われたように感じる。

 カゴふたつ分の食料品を車に乗せて帰宅した頃には十七時を回っていた。

「ちょうどいい時間ですね。食品の整理をしながら夕食の支度をします。新さんは運転で疲れているでしょうから休んでいてくださいね」

「分かった。書斎で少し仕事をしてくる」

「できたらお呼びします」

 休んでもらいたかったけれど、やるべき仕事があるのなら仕方がない。きっと今日だって無理をして時間を作ってくれたのだ。

 仕事をせず自分の力で金銭を稼げない私は、彼にどれだけのものを返せるのかな。
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