冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】


「アデリカル王国、国王様並びに王妃様のご入場です!!」


会場入りを告げる男の声が、ホールに響く。


その瞬間、一斉に視線がこちらへ向けられたのが分かった。


『これは、また珍しいですわね……』


『夜会でアデリカル国王のお姿を見るのはいつぶりか?』


『隣にいらっしゃる方が王妃様?』


周りが何やら騒がしい。


しかし、それは小さくて残念ながら私の耳には届いて来ない。


コソコソ言っているな…くらいだ。


「先ずは大公殿下へご挨拶だ」


「はい。王様」


憧れていたパーティーホールに、今私はいる。


上には輝かしいシャンデリアが会場を照らし、着飾った女性達のドレスが鮮やかで、パーティーに華を添える様だ。


フェルノ公国の大公殿下は他に比べて一段上がった玉座に腰を下ろし、参加された者の挨拶を受け取っていた。


「久しいな、アデリカルの国王殿下よ!今回はパーティーに来て下さったのだな」


「仕事などで手が離せず、中々伺えなかったのだ」


「それは苦労されたのだな。…………ところで、隣に立つこの者が噂に聞く寵妃か?随分と美しい奥方を手に入れたのですな!」


豪快に大口を開けて笑う大公殿下。


最後の言葉は社交界のお世辞だと、淑女におけるマナーの勉強で習った。



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