冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「一曲…良いか?」
前に差し出された王様の手。
その上に恐る恐る手を乗せると、落ち着いたクラッシックの音楽に合わせて、王様のリードで踊る。
「楽しいか?」
「……はい。とても楽しいです!」
ダンスがこんなにも楽しいものなんて。
帝国にいた時はダンスのレッスン受けさせて貰えなかったから、
もちろん向こうでの、ダンス経験はない。
「上手いではないか」
淑女教育の一環として練習した成果か、足取りが軽い。
いや、それもあるとは思うけれど王様のリードが上手なんだ。
『まぁ……あそこで踊られているのは、アデリカル王国の国王様では?』
『お久しぶりに踊られているお姿を拝見致しますわ』
『ご一緒に踊られているのは、スレンスト帝国から嫁がれたお方らしいですわよ』
『あら、王国と帝国は表面上仲の良い関係に見えますけれど、歴史上溝が深いとお聞きしましたが…』
『貴女方、ご存知でないの?国王様自ら望み王妃にされたそうよ。それも…他の者は必要ないとまで言われ、寵愛なさってるとか……』
『まぁ…!何とも羨ましいお話ですわ。わたくしのところなんて…側室の方が六人もいて……』
何やら、いたる所から視線を感じる。
と言うよりも、王様と会場のホールでダンスを踊った事により、周りの注目を集めてしまった様だ。
「…少し向こうで休むか」
「そう致しましょう」
曲を終えた後、王様の提案でテラスへ向かう。