冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
その途中。
「ご挨拶宜しいでしょうか?アデリカル王国の国王様」
目の前から優雅に歩いて来たのは、緩く巻いた紅髪(こうはつ)を頭上で一つにまとめた美しい女性だった。
その女性はトロンとした目で王様を見つめている。
しかし、対する王様は訝しげな目で女性を見つめた。
「………久しいな」
「お会いしたいと切に願っておりましたので、まさかこうしてこの場で王様にお会い出来るとは思っておりませんでした」
ただの関係では無いような雰囲気に、蚊帳の外状態の私はただその光景を見つめる外ない。
「余もまさか…この様な場所で会うなど思ってもみなかった」
「これも神の導きでしょうか」
口元に手を添えて柔らかく笑う姿は、とても可愛らしい。
淑女とは、まさにこうゆう方の事を言うのだろうか。
「宜しかったらあちらの方でお話し致しませんか?」
(…………っ!)
女性は当然の様に王様の腕に手を回すと、テラスとは真逆の方向を指差した。
私が隣にいるにも関わらず、平気な顔して反対側の腕に手を回す女性の行動に思わず驚いてしまう。
(………いや、別に私がいるからと言って、どうゆう事もないんだけど。何だろう、こう…………)
王様に触れて欲しくないって、何故だが思ってしまった。
自分だけの王様でもないのに。