冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】


(そんな事を思ってしまうなんて……………私は欲張りな女だ)


あの様な美しい女性に腕を組まれておきながら誘いを断る男性なんて、恐らくいないと思う。


それに先程の会話的に、初めてお会いする感じではなかった。


どんな関係だかは知らないけれど、女性は王様に対して想いを寄せている様に見えたし、以前何かあったのかもしれない。


「王様?どうされましたの」


女性の声が響く。


王様が口にした言葉に、私は思わず俯いていた顔を上げる。


女性はその言葉が信じられないかのように、瞬きを繰り返す。


「……い、今の言葉はわたくしの聞き間違えでございますよね?」


ぎこちなく笑う女性に、王様はもう一度告げる。


「悪いが行けぬ。王妃と二人で過ごしたいのでな」


「…………え…あ」


優しく微笑む王様に、隣にいた私も思わず戸惑ってしまう。


(王様は行かれると思ってた………)


「そなたは二人で過ごすのは嫌か?」


「い、いえ…っ!私も二人きりで過ごしたく思います…」


「と…言う事だ」


意地悪く笑う王様に、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。


(何だろう…………これ)


可笑しい。


落ち込んだり、嬉しくなったり。


ここに来てから、私の知らない感情に出会う事が多い気がする。




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