雨のリフレイン
「…あ、お母さん!心配かけてごめんね。
これ、麦茶」


待合室で母の姿を見つけると、まるで三浦からの嫌がらせなんて、忘れたように明るく振る舞う柊子。
だが、水上にはわかる。
あの笑顔は、無理をしている。貼り付けたような不自然な笑顔。


「もう、麦茶買いにどこまで行ったの?
洸平君がたまたま来てくれたから、探してもらったのよ」
「ごめんね。検査終わったの?診察は?」
「それは、これから。
洸平君、忙しいのに、ありがとうね」


水上は、小さく首を横に振った。


「今日は、一緒に夕飯が食べられそうです。
暑気払いを兼ねて、たまには外食はどうですか?」
「まぁ。外食なんて、久しぶりだわ!」

素直に喜ぶ母。だが、柊子は顔を曇らせる。
先程の三浦の異常なまでの執着を思い出した。

「先生、すみません。私は課題があるので。母をお願いできますか?」
「いやだ、柊子ったら。せっかくの洸平君のお誘いよ?課題なんて、後で手伝ってあげるから」
「徹夜覚悟の課題なの」
「わかりました。じゃあ、信子さん、二人で行きましょう。親孝行させて下さい。君には料理を持ち帰るよ」


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