雨のリフレイン
三浦が一緒で、本当に頼もしかった。
愛美が処置を受けている間、柊子は改めて三浦に頭を下げた。


「三浦先生、ありがとうございました」
「…いいのよ。
ちょうど良かったの。いつだったかのお詫びもしたかったし。
水上先生と付き合って結婚するのに目障りだなんて言って、ごめんなさいね」

三浦からいきなり謝罪をされて、柊子は戸惑う。

「あの時、父に病気の疑いが見つかってね。私、異常なほど理性を失って焦っていたの。
実家の病院を継いでくれる人をとにかく探さなきゃって」

蛍光灯の明かりに照らされた三浦の顔は、以前とは違い、とても穏やかだった。

「でも、今ならわかる。親が病を患って不安な気持ち。側で誰かに支えてもらいたいわよね。
大事なのは、病院の経営じゃない。残された父との時間をどう過ごすかってこと。
正直、あなたが羨ましいわ。『水上柊子』さん」


「…!」
柊子の体がビクっと震える。


「調べたわけじゃないの。水上先生の携帯の待ち受け、結婚式の写真をこの間たまたま見ちゃったのよ。
心配しないで。内緒なんでしょ?誰にも言わない。わかるわよ。看護学生の身分で、あんな若手のホープで人気の彼が相手じゃね。あなた、間違いなくいじめ抜かれるわ」





< 171 / 302 >

この作品をシェア

pagetop