雨のリフレイン
「それにしても。拓人のカノジョが桜木のオヤジの娘だなんてな。極上の女、捕まえたよなぁ。その点は流石としかいいようがないな。
ま、俺は凡人で、特別な才能は無いからな。平凡な女で十分。
オマエが勧めるなら、見合いしてもいいよ」

翔太の口から『見合い』という似合わない言葉が飛び出したことに、拓人は目を丸くした。

「翔太も結婚に興味があるのか。意外だな」
「最近さぁ、洸平に、山岸団長と、同級生が結婚して。あいつらすげー幸せそうだから、まぁ、一回くらい結婚してみるのもいいかなぁと。
でもさぁ、一人の女に縛られるのはやだなー。仕事最優先で、適当に遊んでもオッケーな女で頼むよ」
「そんな女と結婚なんて、労力と時間の無駄」
「だよなぁ」

ズバリと拓人に切り捨てられるように言われ、小さく翔太がため息をこぼした。その時、机上の電話が内線を知らせる。
翔太は、腕時計で時間を確認しながら受話器を取った。愛想のない秘書のいつもの淡々とした声が来客を告げる。

「さて。親父殿の推薦だからな。丁重にもてなすとするか。拓人も会ってみるだろ?」
「あぁ。
六平(むさか)まこと。地方の国立大学出身の七年目か。
おじさんの推薦なら間違いないだろう。即戦力になればいいな」

翔太は、父の推薦というだけで、履歴書はさっとしか目を通していない。
「ま、とりあえず会ってみよう」


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