*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
残りの六日は…実家に帰り、父と三人の兄とゆっくり過ごした。

気まづい顔をして帰ってきた私を、和にぃは

「お帰り明莉」

と優しく頭を撫でて

「だから結婚反対したんだ。

アイツ…イケメンだからやっぱり苦労したろ?

おまけにお人好しでそして真っ直ぐな奴だ。

でも、明莉はそれ以上にお人好しだ!

バカだなほんとに」

「痛いっ!痛いってば!」

力を込めて頭を撫でた和にぃは、にっと笑い私の顔を覗き込むと

「でも、好きなんだろ?蓮司のこと」

「うん、ごめんね、いっぱい迷惑と心配かけて」

「いいんじゃね?夫婦喧嘩くらいしたって。

この先もさ、いろいろあるよ、アイツイケメンだから。

でもさ、他の女と過ごした期間を上書きするくらいの長い時間をこれからは明莉が過ごしていくんだ。

アイツのこれからの時間は全部明莉のものだよ。

これからもいっぱい思う存分喧嘩しろ!

そして夫婦になっていけ」

当日、式場に車で送りとどけてくれたのは孝にぃで……

「明莉を泣かせたんだからこれくらいの意地悪はさせろ!」

と式場に遅れることを電話で伝え、新郎には遅れることは伝えるなと固く口止めして三十分遅れて式場に到着した。

私の姿を見つけた蓮司はその場から動けずに、そのままズルズルと座り込み

「良かった……」

と呟いて、半べそをかいて苦笑いしながら孝にぃに座り込んだまま頭を下げた。

私は、蓮司の目の前まで行き、同じようにしゃがみこんで視線を合わせた。

「私を一生離さないで。
不安にさせないくらいたくさん愛して。

私蓮司が大好きなの。

私を蓮司のお嫁さんにしてください」
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