*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「じゃあな、明莉」

明莉に笑顔を向けて岡田のあとを
追う俺の背後から女たちの歓声が聞こえる。

「…相変わらず結婚してもモテるんだな。

で、何?」

それほど仲がいい訳ではないが、岡田の態度はあるときからかなり素っ気なく冷たいものに変わった。

たぶん…明莉と付き合いはじめたころからだと思う。

「…なぁ、二年くらい前にさお前にツナギ貸したことあったよな?」

「…あぁ、会長の車の洗車を頼まれた時に、お前がスーツじゃ濡れるからって貸してくれた」

「そのままツナギ着て帰ったのか?」

「あぁ、着替えるのがめんどくさくてそのまま帰った。

そんな昔の話今さらなんなんだ?」

怪訝な顔をする岡田に

「お前って彼女いるの?」

唐突に質問した俺に、ぐっと眉間にシワを寄せた岡田が俺を睨んだ。

「…いねーよ!

入社してきた時からずっと見ていた子は、この間告る前に結婚しちまったよ。

なんなんだよお前!

今さら俺を牽制しにきたのか?

もうとっくにあきらめたよ。

あんな顔を見せられたらあきらめるしかないだろ!

話しはそれだけか?」

立ち上がりかけた岡田を慌てて制止する。

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