彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「どうしようかしら~チョコちゃんの方が良いか、凛君が良いか~どう呼べばいい?ねぇ、なんて呼ばれたい?」

「あ、えっと、自由にどうぞ!」



特にこだわりがなかったのでそう言えば、瑠華さんは色っぽい顔で苦笑いする。



「それが一番困るのよねぇ~チョコちゃんのままでいいかなぁ~?」

「瑠華さん!」



悩む瑠華さんに、泣きそうな声が彼女を呼ぶ。



「あ、ごめんね~忘れてないからね~」



あやすように瑠華さんが言えば、女の子が顔を上げる。その拍子で、フードがバサッと脱げる。




「!?」


え!?この子―――――!?



(吉田さん!!?)




同じ委員会の女の子で、私に英英辞典を貸してくれた1年G組の気さくな子。

渕上一派のいじめっ子達に逆らえず、私に暴言をプレゼントしていじめる側に回った人。

結果として、現在はゲームアプリが原因でいじめられていると、始業式の日に私に打ち明けた相手。

和解した同級生だった。



(ど、どうして瑠華さんと一緒にいるの!?どういう関係!?)



吉田さんは一瞬こっちを見たけど、青い顔でフードをかぶり直す。

深く深く、隠れるようにかぶる姿に、ただならぬものを感じる。


追及できない。

話しかけられない。




(いや・・・『凛道蓮』で話しかけちゃダメよね?)




動揺を隠す私とは逆に、目に見えて動揺する吉田さんの様子は目立った。



「大丈夫よ、登史子(としこ)ちゃん。」



そう言って、吉田さんに声をかける瑠華さん。


(吉田さん、下の名前は登史子ちゃんだったんだ・・・。)


そんなことを考えていたら、優しい声で瑠華さんが言う。



「この子は怖くないわ。それに、長話はしない。すぐに移動するからね?」

「だったら、早く行きましょう!お願いします!急がないと!」


険しい声で嘆願する吉田さん。


(早く行きましょうって・・・)


吉田さんの言葉で、1つの考えが頭に浮かぶ。



(場所が場所だから、もしかして――――――・・・)

「もしかして、映画ですか?」



上映時間を気にしてるのかと思って聞く。

私の問いに、瑠華さんはキレイな笑顔を作る。


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