彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


「違いますよ!?約束破ってませんからね!?」


両手を顔の前にあげ、首を左右に振りながら瑞希お兄ちゃんへ無罪アピールをする。

瑞希お兄ちゃんは瑞希お兄ちゃんで、疑ってますポーズをとる。


「チョコちゃんが今、忙しそうなのはわかるけど~チケットは、もらってくれるわよね?」

「わかってて聞くのですか!?」

「こっちも急いでるからね♪」


私のツッコミを笑顔でかわすと、宣言通りのお構いなしで瑠華さんは言った。



「チョコちゃん、お願い♪チケットもらってくれるぅ?」

「う・・・」



有無を言わさない声と、迫りくる笑顔。

距離を縮めてくるきれいなお姉さんに、私は勝てなかった。



「わ、わかりました!でしたら、お支払いを~」

「お金はいいわ。」

「え!?だめですよ、そんな!譲ってもらう以上は~!」

「こっちから、『もらって』ってお願いしてる場合は、タダで受け取っていいのよ~それに言ったでしょう?これは『お礼』なのよ?」



そう言うと、私の腕を引っ張る美女。



「はい、どーぞ。」

「る、瑠華さん!?」



流れるような動作で、私のポケットにチケットを入れた。



「ええ!?あの!?」

「またね、チョコちゃん。」



妖艶に笑うと、足早に吉田さんと一緒に立ち去る美女。

周囲の男達の注目を浴びながら行ってしまった。



(行っちゃった・・・)


その後姿を見ながら、固まることしかできない私。



(しかも受け取っちゃったよ、チケット・・・)


謙虚な姿勢で、こちらに反論のスキを与えることなく、交渉を成立させてしまったところ・・・・・私も見習おう。



(ああいう人を、できる女性というのだろうな・・・。)


感心する一方で、そんな瑠華さんと一緒にいた人物のことが気になった。


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