彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)

嬉しくて、恥ずかしくて、心臓が跳ね上がる。

ドキドキしながら下を向けば、優しく頭をなでられる。


「っ!?」

「そろそろだな、凛?」


その動きと言葉に合わせて、館内にブザーが鳴り響く。

室内が暗くなっていく。


「ビンゴ!始まるな?」

「う、うん。」



嬉しそうに言う瑞希お兄ちゃんに、ドギマギする。

いつもの口調で言う好きな人に、最大限の努力で、動揺を隠しながらうなずいた。

彼の言葉通り、スクリーンに映像が映し出される。

大画面には、もうすぐ公開される映画やお店の宣伝CM等が流れ始める。



「あれ、面白そうじゃねぇ?次、見に行くか?」

「う、うん。」


瑞希お兄ちゃんが、私の耳元でコショコショと話しかけてくる。

くすぐったいような、気持ちいいような不思議な感触。


(・・・悪くない。むしろ、嬉しいかも・・・)


「このシリーズ、烈司が好きなんだよな~凛はどうだ?」

「見てないので、ちょっと・・・。」

「わかんないかー?じゃあ、まずはシリーズ1からレンタルで見ようぜ。うわっ、この映画の予告・・・ゾンビ系っていうか、感染系だよな?これ凛は~」

「アウトです。」

「だよなぁ~」


そんなやり取りを小声でしながら、本編が始めるのを待つ。

周りのカップルも、あちらこちらでコソコソ話していた。



(気分は恋人だよ、これ・・・♪)



顔を寄せ合い、好きな人と話すのは、内緒話をしているみたいで楽しい。

隣にいるのは、夜の闇の中で月明かりに照らされている彼ではなく、人工的な暗さの中で人工的な光に浮き彫りになる愛しい人。

見慣れた闇の中の姿と違って、すごく新鮮な感じがしてドキドキが高まった。


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