彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
オープニングが流れ、映画が始まる。
隣から、ポップコーンを頬張りながら、ドリンクを飲んでいる音がする。
大きいサイズのポップコーンを、瑞希お兄ちゃんと2人でシェアしながら見る。
内容は、主人公の女の子にいろんな男の子がアプローチする話。
一般的には『逆ハーレム』呼ばれる恋愛ストーリー。
《私より可愛い子はいっぱいいるのに・・・・なんで、みんな私なんかを・・・?》
恋愛と無縁の女の子が、戸惑い、悩みながらも、誰が自分の運命の人なのか決めていく。
多種多様なイケメン達が必死に、ヒロインへの愛を伝える。
《初恋なのです。君は気づいてなかったかもしれないけど・・・すっと好きなのです。》
《あなたを他の奴に渡したくない。愛しているから・・・!》
《先輩、僕だって男なんだよぉ~?大好きな先輩相手なら、ケダモノにもなれちゃうオスなんだからね~?》
《I didn’t know what true love was until I met you!I love you so much that the words I love you are not enough!》
(これは・・・恥ずかしいかも・・・)
見ていて直視できない。
聞いてるだけでも恥ずかしい。
(自分に言われてるわけでもないのに、照れ臭くなってしまう。)
たくさんのカッコいい人に言い寄られるのは、気分が良いと思うけど・・・
(私なら、たった1人の――――――――本当に好きな人だけから言われたいな・・・。)
ウソの名前を名乗って、男の子のふりをして、家族をだましてまでも、側にいたいお方―――――――
(瑞希お兄ちゃん・・・!)
そっと、隣にいる好きな人の気配を探る。
かすかに聞こえる咀嚼音(そしゃくおん)からして、もぐもぐとホットドックを食べているようだ。
(もしも、この映画の男子達が言っているセリフを、瑞希お兄ちゃんに言われたら―――――――・・・・!?)
《認めろよ。お前は俺に溺(おぼ)れちまってんだぞ?》
そう考えた瞬間、スクリーンにドアップで映る俺様キャラと瑞希お兄ちゃんがダブった。
(きゃあううううううううううう!!)
一気に体温が熱くなる。
冷房の効果を感じなくなる。
(うわぁぁぁ!!妄想のタイミングが悪かった!!)
〔★凛はセルフダメージを受けた★〕