彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


(映画館涼しいから・・・働きすぎだから・・・・寝ちゃったってこと・・・!?)


そう推理しながら、瑞希お兄ちゃんを観察する。

そんな彼の横顔を見ていたら、ふいに手が温かくなった。


「あ・・・」


ひじ置きに乗せていた私の手に、彼の手が重なっている。

涼しいはずの映画館が、私のところだけ暑くなる。

完全にもたれかかってくる彼に戸惑ったけど、思い切って私の方からも、もたれかかってみる。


「・・・!!」

「ん~・・・・スースー・・・スー・・・」



瑞希お兄ちゃんは起きなかった。

変わらず、静かな寝息をたてるだけだった。

目だけで周囲を見渡す。

誰も、こちらを見ている・・・瑞希お兄ちゃんが寝ていることに、気づいている人はいない。



(バレてないなら、いいかな・・・?)



緊張しながらくっついていたけど、徐々に体の力が抜けていく。

反対隣から、クスクスと小さな笑い声がした。


(気づかれた!!?)


とっさに横を見れば、


「だめよぉ~」

「いいじゃん?」



(なんだ、バカップルか・・・)


単に、よその恋人同士がいちゃついてるだけだった。



(びっくりさせないでよ・・・!)



瑞希お兄ちゃんの寝息を聞きながらホッとする。

前の席の方を見れば、私達と似たような姿勢で映画を見てるカップルが結構いる。



(・・・不自然ではないということだよね・・・?)


「スー・・・スゥースゥー・・・・」


(お兄ちゃんの寝息が小さくてよかった。)


遠慮なくもたれてくる彼に、私も同じように身を預けた。



(・・・大好きだよ、瑞希お兄ちゃん・・・・)



好きな人と身を寄せ合いながら、ラブストーリーを見る。

というか、お兄ちゃんは寝ちゃって映画を見てないし、私はお兄ちゃんしか見てないしで・・・

とりあえず、瑠華さんに次会う時は、手土産をもってお礼に行こうと決めた。


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