彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


エンドロール終了まで、瑞希お兄ちゃんは起きなかった。

館内が明るくなり、人がまばらになったところでお目覚めになった。


「悪いな~凛。」

「いえいえ。」


背伸びすると、気まずそうに謝ってくる瑞希お兄ちゃん。


「いや~ちゃんと寝てきたつもりだったけどよ~ははは!」

「仕方ないですよ。映画館、涼しかったですもんね?」

「フォローサンキューな。」


そんな姿も可愛いくて、ますます得した気分になる。


「で?どうだった?」

「え?」


眼福と思っていたら、いきなり質問された。



「凛は映画、最後まで見たんだろう?どんな内容だったんだ?凛的には、どういう感想よ?」

「ぼ、僕の感想・・・ですか?」

感想と言われても・・・。


(見てない・・・。)


どんな内容と聞かれても――――――・・・・



(瑞希お兄ちゃんしか見てなかった・・・。)



〔★映画館に来た意味がない★〕



だから、どんなエンディングを迎えたかなんて、覚えてないけど~


「最近の恋愛映画って、ハーレム系なんですね~びっくりです~」

「ハーレム系だったのか?」

「はい。」


冒頭だけは見ていたので、差しさわりのないポイントを口にする。


「主人公であるヒロインに、ハイスペックの男子達が告白していってすごかったです。」

「へえ~主人公はどんな奴とくっついたんだ?」


「えっ!?」

どんな奴だっけ!?



(瑞希お兄ちゃんがムニャムニャしてた顔は見届けたけど!)


一瞬返事に困ったけど、伊達(だて)に修羅場(しゅらば)を、くぐりぬけてきた凛道蓮ではない!



「あ~・・・僕がくっついてほしい人じゃなかったので~」


もっともらしいことを言って、にごしてみる。


「ですから、ラストはなんというか~」

「あーわかる、わかる!興味ないと、見る気なくすよな~?」

「はい・・・!」


瑞希お兄ちゃんの反応を見てホッとする。

どうやら、私のごまかしは上手くいったようだ。



〔★凛の機転、瑞希を納得させた★〕


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