彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「こんばんは。ご指名、ありがとうございました。」
軽くお辞儀をして、顔を上げた時、レースで出来た谷間ホールの中の胸がゆれた。
下げた頭を上げる動きに合わせ、甘くしびれるようないい香りと、最高の笑顔でそこにはあった。
そんな中で現れたのが、生地の部分が少ないミニスカートをはいた美女。
「『ふじこ』です。」
(瑠華さんだ!!)
凹凸のハッキリした肉体と、甘い声が私達にかけられる。
1人1人へ色っぽい流し目をした彼女の瞳が、私を見て止まる。
(瑞希お兄ちゃんの反応は・・・・?)
これで喜んでいたら、私が瑞希お兄ちゃんに愛の告白をする際は薄着を検討しないといけない。
目だけで好きな人を見るが―――――――――
(・・・これはどういうことだろう・・・)
予想に反して無表情。
なにを考えているかわからない顔。
(ほっ、本当にどうなんだろう??)
表情、読み取れないよー!!
どんな気持ちなの、これ!?
あまりじろじろ見るわけにもいかないので、視線を前に戻せば、セクシーな美女と目があった。
「・・・チョコちゃん?」
「あ・・・。」
「え!?チョコちゃん!?」
「こ、こんばんは、瑠華さん。」
私だと認識した瞬間、彼女から笑顔が消えた。
「なにやってるの!?」
「え?」
「どうしてチョコちゃんがここに!?」
「え!?どうしてって、あの――――」
「――――――映画館以来っすね、『ふじこ』ちゃん。」
「・・・チョコちゃんのお兄さん。」
私の声にかぶるようにしゃべったのは、私の隣にいた好きな人。
瑠華さんは、瑞希お兄ちゃんを見ると、あからさまに大きなため息をついた。