彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「すがちゃん!すがちゃん助けて-!」
(よっちゃん!?)
彼女の声が聞こえた。ずっと叫んでいるので、その声を頼りに進んだ。
「すがちゃーんっ!!」
親友の悲痛の声が間近まで迫った時、私は大声で返事をした。
「よっちゃん!ここだね!?」
乱暴にドアを開けて、中に駆け込む。
「逃げよう!」
(一緒に――――――――!!)
「二人で逃げ―――――――」
「えっ!?」
それはよっちゃんの声だった。
驚いた声。
「すがちゃんっ・・・!?」
声だけじゃない。
表情も、びっくりしていたが――――――――
「・・・え?」
彼女以上に私が驚いた。
「どういうこと・・・・・!?」
そこにいたよっちゃんは、長椅子のソファーに寝転がって、お菓子を食べていた。
(あまりにも、くつろぎすぎ!!てか―――――――)
「襲われてたはずじゃなかったの、よっちゃんっ!!?」
「な、なんで!?」
私の問いかけに反応するように、ガバッと身を起こすよっちゃん。
ガチャン!
「あ!?」
「え?」
よっちゃんがなにか落とす。
カラカラカラ、カランカランカラーン!
それは滑りながら、私の足元にきた。
「これ、は・・・・・・!?」
ゲーム画面。
よっちゃんが借金を作る原因になったゲームアプリ。
ログインどころか、遊んでいる真っただ中とわかる表示だった。
「どういうこと!?」
「あ!ち、違う違う!違うの!!」
「なにが違うのっ!!?」
その言葉で頭に血がのぼる。
「違うってなに!?よっちゃんが危険な目にあってると思って駆けつけたのに!なんで寝転んでお菓子を食べてるの!ゲームしてるの!?」
混乱と怒りが言葉で吐き出される。
「私はよっちゃんのゲームの借金返済のためだっていって、レイプされかけたんだよ!?私が襲われてる時に、そのゲームをしてるとかなに!?なんなの!?」
「ち、違うこれは!!」
「おかしい!!」
違うとしか言わない相手に、違和感を覚えた時だった。
「自分から身代わりになったくせに、うるせーよ。」
そう言って、よっちゃんが座るソファーと背中合わせにくっついていたソファーから顔を出したのは―――――――
「渕上ルノア!?」
「呼び捨てにすんな、アバズレ。」
私の天敵であるいじめっ子だった。