彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「吉田!これが菅原のカバンか!?」

「は、はい!」

「あ!?」

(私のカバン!!)



「なにするの!?返し――――!」



そこまで言って異変に気付く。



「うっ・・・?」



視界がぐるぐる回る。

気持ち悪くて、体に力が入らない。





「お?動きにぶくなってんじゃん?薬が効いてきたかぁ~?」

「く・・・くすり・・・って・・・?」

「自分で飲んだだろうが、ばーか!」

ゲシ!

「うっ!?」





頭を蹴られて、ますます気持ち悪くなる。





(薬・・・自分で飲んだ・・・?)





朦朧(もうろう)とした意識の中で、敵が言った言葉をつなぎ合わせる。

それで理解しする。






「まさか・・・オレンジジュースに薬を・・・!?」

「わかるの遅すぎじゃーん!?へへ!鞄ゲット~!」

「キャハハハ!早く来いよぉ~!吉田!」

「仕事だぞ~チェックしろ!」

「は、はい!すぐに調べます!」





鳥海と難波の呼びかけでよっちゃんがこっちに来る。





「よっちゃん!?」





彼女は私を見ることなく、一目散に私のカバンを持つ鳥海に駆け寄る。

素早く受け取ると、私のカバンを抱えて、一直線で再び、渕上の元に駆けもどった。





「ちょっ!?どうする気、よっちゃん!?」

「ルノアさん!」





よっちゃんは私の言葉を無視すると、渕上の前で頭を下げ、恭しく私のカバンを差し出す。

そんなよっちゃんに、そっけなく渕上は言った。







「手袋とスマホ。」

「はい!」






よっちゃんは即答すると、ポケットから白い布手袋を出して両手につける。

そして、その手で私のカバンを開けた。







「よっちゃん何するの!?」

「うるさいっ!!!」







思わぬ罵声に、身体が震えた。





なんで?

なに?

どういうこと?






私の目の前で、私のスマホを取り出すと、画面をさわり始める。







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