彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)



「やめてよっちゃん!なにしてるの!?」

「菅原さ、借金は返さなきゃダメだろう?」

「は!?」



そう言ったのは渕上ルノア。

なに言ってんだこいつ!?と思いながら言った。





「私に借金なんて・・・ありません!!」

「あるだろう。なぁ、吉田?」

「ほらぁ!!?」





渕上の声に合わせて、よっちゃんが私のスマホ画面を見せる。





「ほらほらほらぁ――――――!!!」





私のスマホをかざしながら、よっちゃんが近づいてくる。

それでわかった。

自分のスマホ画面に、なにが表示されているか。





「これ!?よっちゃんがポイントの借金を作ったゲームの私のマイページ!?」





それも、ポイントの残高ページだった。

よっちゃんのポイント借金を減らすために、私も登録したサイト。

登録祝いでもらったポイントは、全部よっちゃんにあげたけど―――――――





「なんでマイナスなの!?」





この建物に入る前は0だった。

それが負債になっている。






「マイナスにはなってなかったのに!?なんで―――――・・・!?」

(まさか、今、よっちゃんが画面を操作したから!?)



「そんな言い訳通じるか、バーカ。」





信じがたい可能性が頭をよぎった時、冷めた声で渕上が言う。







「お前が登録したIDでできた借金はお前の借金なんだよ、ゴミ原。」

「菅原です!よっちゃん!どういうことなの!?どうしてこんなことをするの!?」





私の問いに、彼女は答えない。

不機嫌そうな顔をして、目さえ合わせない。





「よっちゃ―――――!」

「帰るぞ、吉田。」





私の呼び掛けを渕上が遮る。





「い、いいんですか!?」

「お疲れ。」





自分の爪を見ながら言う渕上に、笑顔になるよっちゃん。





「ありがとうございました!失礼します!」

「待ってよっちゃん!!」




私の横を、そそくさと通り抜けようとする友達をひきとめうと手をのばす。






< 634 / 922 >

この作品をシェア

pagetop