彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「やめてよっちゃん!なにしてるの!?」
「菅原さ、借金は返さなきゃダメだろう?」
「は!?」
そう言ったのは渕上ルノア。
なに言ってんだこいつ!?と思いながら言った。
「私に借金なんて・・・ありません!!」
「あるだろう。なぁ、吉田?」
「ほらぁ!!?」
渕上の声に合わせて、よっちゃんが私のスマホ画面を見せる。
「ほらほらほらぁ――――――!!!」
私のスマホをかざしながら、よっちゃんが近づいてくる。
それでわかった。
自分のスマホ画面に、なにが表示されているか。
「これ!?よっちゃんがポイントの借金を作ったゲームの私のマイページ!?」
それも、ポイントの残高ページだった。
よっちゃんのポイント借金を減らすために、私も登録したサイト。
登録祝いでもらったポイントは、全部よっちゃんにあげたけど―――――――
「なんでマイナスなの!?」
この建物に入る前は0だった。
それが負債になっている。
「マイナスにはなってなかったのに!?なんで―――――・・・!?」
(まさか、今、よっちゃんが画面を操作したから!?)
「そんな言い訳通じるか、バーカ。」
信じがたい可能性が頭をよぎった時、冷めた声で渕上が言う。
「お前が登録したIDでできた借金はお前の借金なんだよ、ゴミ原。」
「菅原です!よっちゃん!どういうことなの!?どうしてこんなことをするの!?」
私の問いに、彼女は答えない。
不機嫌そうな顔をして、目さえ合わせない。
「よっちゃ―――――!」
「帰るぞ、吉田。」
私の呼び掛けを渕上が遮る。
「い、いいんですか!?」
「お疲れ。」
自分の爪を見ながら言う渕上に、笑顔になるよっちゃん。
「ありがとうございました!失礼します!」
「待ってよっちゃん!!」
私の横を、そそくさと通り抜けようとする友達をひきとめうと手をのばす。