彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)





〈おう、凛か?今どこだ?〉

「まだ、あなたのお店についてません。」





『瑞希お兄ちゃんの声』を聞くのは1日ぶりだけど、嬉しさよりも息苦しさを感じる。

後ろめたさのような罪悪感がまとわりつく。





〈そうか。わりぃーけど、来る途中でいいから、シナモン買って来てくれないか?金は後で渡すから。おつりで好きなもん買っていいからよ。〉

「おつり、返しますから、お気遣いなく。すぐに買ってからうかがいます。」

〈遠慮すんな!ちゃんと好きもの買えよ?あと、急いでないからゆっくり来い!開店時間に間に合わせようとすんなよ?店で使うわけじゃねぇからな?〉

「・・・わかりました。」

〈なぁ、凛・・・どっか悪いのか?声が変な気が済んだけど?〉

「!?あ、暑いからバテてるんです。ご心配なく。」

〈マジか!?だったら、無理せずにゆっくりでいいからな?つーか、今夜は店手伝わなくても~〉

「手伝います!」



(瑞希お兄ちゃんに会えないのは嫌だ!!!)



「手伝えますから、そんなこと言わないで下さい!」

〈・・・凛が良いならいいけどよ。マジ、調子悪いなら、俺らが店開けてる間は自分の部屋で休んでいいからな?〉

「お心づかい、感謝します。」

〈どういたしまして~じゃあ、お使いよろしくな?待ってるぜ?〉

「はい、わかりました。」





そこで会話は終わった。

何気ないやり取りだったけど・・・







「そんなに僕の声・・体調が悪そうに聞こえますか?」

「うははは!今は悪く聞こえるなぁー!電話中はそうでもあらへんかったけど~愛されとるな、自分!?」

「・・・ありがとう・・・」







素直に喜べず、どちらかと言えば瑞希お兄ちゃんに申し訳ない気持ちになる。





「あの、ヤマトにお願いがあるんですが・・・・」

「うははは!なんでもいい!お使いやろう!?わしのケツにのせたるさかい!」

「助かります。」





どうして私が、こんな嫌な思いをしなきゃいけないのか。

その理不尽さを少しでも消すため、まぎらわすためにも、動かなきゃいけない。

グラスの中のほうじ茶をストローで吸い上げると、ヤマトともに彼の部屋を後にした。






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