彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「あのヘルメットマンさん・・・運転代わりましょうか?」
気まずかったので聞けば、
ギュウオォ―――――――――ォオン!
「あ。」
再び減速する。
ヘルメットマンさんの右手が、またハンドルから離れる。
前でゴソゴソしてると思ったら、にぎったこぶしを私に向けてきた。
(え?何か渡そうとしてる?)
片手に発信機で、片手はヘルメットマンさんの腰を持ってる状態なので、体勢を立て直さないと受け取れない。
だから一度、発信機をポケットに入れてから、差し出してくるこぶしにふれた。
するとこぶしが開き、手のひらに何かが落ちてくる。
「え?・・・・あめ玉・・・・?」
大粒のあめ玉が3つ、私の手の中に来た。
それで理解する。
「えっ!?下さるのですか?」
ギュウオオン!
「あ、ありがとうございます!」
ギュウオオン!
思いがけないプレゼントにドキドキする。
すると、バイクはさらに速度を落とす。
あれ?と思っていたら、またまたヘルメットマンさんの右手が伸びてきて――――
プニプニ!
「え!?」
私の口元を触る。
飴を持っている手をトントンしてから、口元をプニプニして・・・を、繰り返す。
「・・・今食べろってことですか?」
「「なにを!?」」
言ったのは、追いついてきた闘邪駆鬼(とうじゃくき)の2人。
そんな2人を見て、私から手を放すヘルメットマンさん。
そして―――――――
ビシュン!
バシ!
「うっ!?」
ビシュン!
ベシ!
「いてぇ!?」
神城さんと速水君にもアメを渡した―――――――というか、指ではじいて、ぶつけた・・・かな?
しかも2人共、受け取れなかった。
〔★アメ2粒は、ムダ死にした★〕