彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「あーあ、もったいない・・・」
「なにがだい、4代目さん!?なんだ今のは!?」
「攻撃しやがって!!」
「違います!アメを投げてくれたんですよ!」
「「アメ!?」」
「食べなさいって意味だと思います!」
「「なんでだよ!?」」
「えーと・・・たぶん落ち着けって意味ですよ。僕の分けてあげますから、どうぞ!」
隣の神城さんに手渡し、少し後ろの速水君の手を伸ばしてそれぞれあめ玉を渡す。
「落ち着けって・・・あ、駄菓子屋にある奴じゃんか?」
「懐かし~うまいよなぁ~これ?」
「ですよね~じゃあ、いただきまーす!」
ゆっくり走ってくれてるので、心おきなく両手でアメの袋を開けて口に入れた。
「美味しい~!」
口の中でコロコロする。
無意識で、両手をヘルメットマンさんの腰に回した時だった。
ギュウオオン!
「え?」
「「あ!?」」
爆音がしたと思ったら、再び加速するヘルメットマンさん。
「ちょ!?待てよ!」
「まだアメ食ってねぇーぞコラ!?」
不意を突かれた2人を残し、バイクは風を切って走る。
「ああ!?神城さんと速水君とまた距離が!?」
「・・・。」
「ヘルメットマンさん!もう少しゆっくり走ってあげて下さいよ!」
そんなに急がないといけない理由でもあるの!?
「あ!?まさか、瑠華さん達に危険が迫っているから!?いや!そもそも、危険が迫っているから急いでたんでしたね!?すみません!僕が間違ってました!このまま加速でお願いします!」
ギュウオオン!
謝ってお願いすれば、風を切る音が大きくなる。
「お言葉に甘えて!アメをなめながら精神統一しますので、運転お願いしま――――すっ!!」
ギュウオオン!
私の声にこたえるように鳴り響くエンジン音。
しゃべってくれない相手だったけど、不安はなかった。
飴の甘さで糖分を取りつつ、奪還戦に備えるのだった。
〔★凛とヘルメットマンの会話は成立した★〕