彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)


ドキドキしながら言えば、瑞希お兄ちゃんの手が私の方から離れる。



「じゃあ、決まりだな?」



肩から離れた手が、私の頭をヨシヨシと撫でてくれた。


「俺も最近、映画見てねぇんだよなぁ~つーか、凛とはまだ行ってなかったな!」

「は、はい!未経験です・・・」

「よし!じゃあ、初体験、済ませようぜ?」

「初!?え!?よろしくお願いします!!」


魅惑のセリフに心拍数が上がる。



(初体験・・・瑞希お兄ちゃんとの初映画・・・きゃあああああああああ!!!)


「ずいぶん浮かれてんな~?そんなに映画が好きだったんか?」

「瑞希お兄ちゃんと一緒だから嬉しいんです!」

「ハハハ!そうかそうか~!マジで凛は、俺が大好きなのな~?」

「はい!大好きです!!」

「わかった、わかった。ほら、行くぞ!GO、GO、GO!」

「あ・・・!?」



楽しそうに笑い飛ばすと、私を強引に椅子から立たせる。



「お兄ちゃんがしっかり子守してやるから、安心しろよ~?」



私の顔をのぞき込み、からかいながら言う瑞希お兄ちゃん。

そして私の手を握って、ガレージへと歩き出す。



(・・・・なにがあったんだろう・・・・)


烈司さん達ほど付き合いは長くないけど、瑞希お兄ちゃんが何か隠している・・・誤魔化しているのは伝わってきた。



(おそらくは、今さっきの電話・・・・・)


相手が誰かわからなかった。

何を話したのか気になったけど・・・・


(私に言わないってことは、言いたくないことなんだろうな・・・)


だったら、無理やり聞きだすことはできない。

そんなことをしたら―――――



(・・・・下手に問いただして、好感度が下がるのは嫌だ・・・・・)



大事なのは、瑞希お兄ちゃんに好きでいたもらうこと。

嫌がることは絶対にしたくない。



「どうした、凛?ボーとして?出掛けるのはだるいか?」

「い、いえ!そんなことありません!瑞希お兄ちゃんとならどこへでも行きます!光栄です!!」

「ハハハ!ありがとなぁ~」



笑顔でお礼を言ってくる彼を見て、何も気づかなかったことにする。

あえて、見て見ぬふりをする。

わからないふりをすることを選ぶ。


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