彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)
「瑞希お兄ちゃん!」
瑞希お兄ちゃんとつないでいた手を、私の方へグイッと引っ張った。
「あん!?」
それに驚いて、振り返った瑞希お兄ちゃんに抱き付いた。
「わかってるけど、忘れてない?」
「は!?」
手をつないだ状態で、彼の胸元に顔を押し付けながら言った。
「僕が悪い不良だって、忘れてない?」
「凛。」
瑞希お兄ちゃんが息を飲む音がしたが、かまわずに言葉を続ける。
「それでも、僕を心配してくれるの?龍星軍の4代目総長なのに?」
「当たり前だ!俺は―――・・・・!」
「今でも迷うの?」
私の問いかけに応えてくれた声をさえぎる。
「僕に、あなたの跡を継がせたこと?」
「・・・今まさに、だ・・・」
そう告げる声は不快じゃない。
むしろ気分が良くなる。
そんな声。
「・・・不良を・・・族をやる奴はロクでもねぇ。族をやってきた俺だからこそ、悪だってことはわかってる。ましてや・・・族と縁のなかった凛を俺は――――」
彼の言葉の端々から感じ取れる『凛』への愛。
好きな人の答えに気分がよくなる。
「じゃあ、一緒に後悔していきましょう。」
「はあ!?何言っ!?」
「どうせ人間は・・・後悔することをやめられない。だけど、やって後悔するのとやらないで後悔するなら、やって後悔した方がいいです。やらないで後悔すると・・・自分に都合の良い展開ばかりを妄想してしまう。だったら、飽きるまで、疲れるまで、納得できるまで――――――いっしょに後悔しましょう、瑞希お兄ちゃん。」
「凛・・・!」
そっと、瑞希お兄ちゃんを見上げれば、見開いた目で私を見ていた。
すぐに目が合い、しばらく無言で見つめ合った。
ああ、本当に瑞希お兄ちゃんは、キレイな目をしている。
引き込まれてしまう。
すごくすごく、あなたが愛おしい。
「・・・そうだな。」
スッと、瑞希お兄ちゃんが目を細める。
その表情はとても穏やかだった。