先輩の彼女
前にも話したが、営業部と編集部は、同じフロアの隣同士。

ものの2~3分で、着く距離だ。

「失礼します。」

慣れた手つきで、編集部の中へ入って行く。

「おお!斎藤。」

「お久しぶりです、山田さん。」

前に一緒に働いてた山田さん。

元気そうだ。


「ところで何の用だ。」

「ああ……みんな元気かなって、気になって。」

「営業部に移って、心配性になったのか?斎藤。」

山田さんには、こういう気遣い的な発言は、不要だった。

「なーんて。本当は、レディコミの来月の新刊があるか、確認しに来たんです。」

すると山田さんは、左右を見渡した。

「おい、谷岡!新刊の一覧、営業部に持って行ったか?」

すると、コピーをとっていた谷岡君が、遠くから叫ぶ。

「持って行きましたよ!」

「レディースが届いてないらしいぞ!」

「あっ!」

谷岡君は、コピーした紙を急いで集め、私のところへ走って来た。
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