先輩の彼女
「僕、週末楽しみにしてますから。」

「うん……」

年下相手にドキドキして、私は一体、何をやっているんだか。



また廊下を挟んで、営業部に戻り、間野さんを探す。

いた。

休憩室で、コーヒー飲んでる。

失恋したって分かっても、目は間野さんを、直ぐに見つける。

「先輩。」

「ん?」

「新刊の一覧、貰ってきたんですが、営業戦略、どうすればいいですか?」

間野さんは、目をパチクリさせている。

「やる気満々だな。」

「今から始めないと、週末帰れそうにないんで。」

私がそう言ったら、間野さんはコーヒー片手に、もう片方の手を伸ばした。

「貸して。」

「はい。」

貰ってきたばかりの書類を、間野さんに渡す。

「おお。新人にしては、結構あるな。」

「ですよね。新人なんだから、いっそ0にしてくれればいいのに。」

「それじゃあ、お前勉強にならんし、会社の売り上げにもならないだろ。」
< 105 / 182 >

この作品をシェア

pagetop