先輩の彼女
冗談で受け流してほしかったのに、またそんな正当な答えを返して。

間野さん、ホント厳しい!

「でもまあ。元気が出たみたいで、よかった。」

「えっ?私、元気なかったですか?」

「なかっただろう。朝なんて、目腫らして。」

やっぱり、気づいてたんですね。

そこだけは、見て欲しくなかった。

「気持ちは分かるなぁ。親友に先越されるなんてな。」

「はあ?」

先越された?

「女って、友達の中で一番早く、自分が結婚したいんだろ?」

「そんな事、ありませんよ。」

誰だ。

そんな事言ってるの。


「そうか。じゃあ、なんで泣いたんだ?」

コーヒー片手に、逆光を浴びながらそんな優しい顔されたら。

また私は、泣いてしまいそうになるじゃないですか。

「別に泣いてないです。」

「あっ、そう。なんだ。飲みすぎで腫れたのか。」

思わず息を止めた。

あなたに失恋して泣いてましたって、言えたらいいのに。
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