先輩の彼女
「さて。仕事仕事。」

急に仕事ムードになった間野さんは、パソコンを触りだした。

「斎藤。これ、月刊誌の売り上げね。」

「はい。」

なんだ。

もう始まってるんだ。

私は急いで、メモ用紙を取った。

「大抵、人気のある漫画が、初版も多く刷られる。そう言うのは、書店の目立つ場所に置いて貰えるようにさえすれば、ある程度は売れる。」

なるほど。

今、間野さんが言った事、そのままメモに書き残す。

「問題は、その次。そこそこ人気のある漫画。これがクセモノ。大衆受けしないが、一部の層に人気があるとか、もう少しで人気が出そうなゾーンなんだ。」

「はあ。」

「このゾーンをアピールする事で、爆発的に売れる事もある。但し、会社として人気のある漫画を、メインに売りたいから、そっちをおろそかにしない。然り気無くアピール。」

私の眉間に、シワが寄る。

「なんだか、難しいですね。」

「思い詰めるな。これが毎月やってくるんだから。」

間野さんはそう言って、欠伸を一つした。
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