先輩の彼女
思い詰めるなと言われ、ほんの少しだけのんびりしていた結果。

谷岡君と約束した週末は、あっさりと来た。


「ひぃ~!」

間野さんと白石さんに、ほぼ手伝って貰ったPOPが、出来上がって来た。

これを各書店に郵送するのだが、レディコミって扱っている書店が地味に多くて、いくら封筒に積めても、まだまだ残っている。

この土日に届かないとまずいし。

こりゃ、本気で谷岡君との約束、パスしないとダメかも。


「なんだ斎藤。案外不器用なのか?」

「違います!送り先が、やたら多いだけです!」

大体、数数えて封筒に入れて、糊付けして宛名のシールを貼る事に、器用も不器用もあるか!

「ところで少年コミックの方は、終わったんですか?」

「ああ。白石にやらせてる。」

向かいの席では、これまたヒィヒィ言いながら、白石さんがPOPを積めている。

「いいですよね。少年コミックは規模が大きいから、担当者が二人いて。」
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