先輩の彼女
「二人でも、結構キツいぞ。」

だろうなぁって思っていると、急に白石さんが立ち上がった。

「キツいって分かってるんだったら、間野先輩も手伝って下さいよ。」

「分かった。少しこっちにまわせ。」

泣きそうになっていた白石さんに、笑顔が戻る。

ああ、これで。

少年コミックの方は、明るい週末を迎えられるんだろうなぁ。


「しっかし。斎藤、やたら急いでるな?」

「今日、人と会う約束があるんですよ。」

「約束?また絹花と飲むのか?」

「えっ?絹花?」

私と間野さんは、手を止め顔を合わせる。

「いや。違うんだったら、いいんだ。」

間野さんは、無表情に作業を始めた。


絹花め。

また飲み歩いてるな。

私からしたら、逆にそれが絹花らしいんだけど。


「で?誰と会うんだ?」

「は?気になります?」

「誰が。話のタネだろ。」

間野さんに期待した、私がバカだった。
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