先輩の彼女
その時、タイミングが悪いのか良いのか。

またもや白石さんが、立ち上がった。

「終わった~!間野先輩が、半分手伝ってくれたお陰ですよ。」

それを聞いて、間野さんは得意顔。

私なんて、まだ半分しか終わってないのに!

「気の毒に残業だな。」

「ですね。」

「早くしろ。相手の男の子が、待っているぞ。」


あー。

話さなきゃよかった。

しかし、約束があるのに、全く手伝ってくれないって言うこの非情さ。

「斎藤さん。少し手伝いますか?」

「白石さん!」

捨てる神あれば、拾う神あり!

「白石。これは斎藤の試練だ。手出し無用。」

「試練って……地味な試練ですね。」

「試練に地味も派手もあるか。」

それで、白石さんの手を借りる作戦は失敗。

「頑張れー。斎藤ー。」

間野さんの棒読みの応援が、鼻につく。


なのに、ずっと椅子に座りながら、私を監視して。

一体、何を考えてんだ?
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