強がりな私の日々
ー病院にて

この病院では診察室の後ろにもう一つ部屋がついている。外からも診察室の中からも入れる部屋だ。私はいつも待合室で待つのではなく、この部屋で奏翔さんが暇になるタイミングを待つ。部屋にはソファ、サイドテーブル、医学書がたくさん入った本棚、机に椅子、仮眠または診察台として使われるベッド。まぁ研究室兼仮眠室だ。

ソファに座り、海翔と話したり本を呼んだりして過ごしていた。

ガチャ、診察室側の扉が開いた。

海翔「あっ、お兄ちゃん外来落ち着いた?」

奏翔「ああ、お待たせ。今日は体調どう?」

「雨だから頭痛いです。」

奏翔「そうか。とりあえず、もう1回血圧と体温測ってくれる?」

あっ、熱上がってる。36.8℃になってる。朝より頭痛いし。
持ってきた管理ノートに奏翔さんが数値を書き入れ、過去の記録を見つつ、3人で話していた。

ガチャ、外側のドアが開いて看護師が顔を覗かせた。

看護師さん(愛川)「宮田先生、患者さんのことで少し…」

奏翔「ああ、分かった。」

奏翔さんが外に出て少し話をして戻ってきた。

奏翔「そしたら愛川さん先に夢菜の血液検査お願いしてもいい?俺少し行ってくるから」

愛川「はい、わかりました。こんにちは夢菜ちゃん久しぶり。またサボったでしょう笑」

「ごめんなさい。」

愛川「座ったままで大丈夫?寝転がる?」

「寝転がります。」

愛川「分かった。そしたら動いといて。私とってくるから。」

愛川さんが外に出て器具を取って戻ってきた。

愛川「海翔くん、抑えててくれる?」

海翔「はい。ごめんね。夢菜、抑えるよ。」

「イタィ…」

わたしは少し痛みを感じた後、意識を飛ばしてしまった。

愛川「あっ、飛ばしちゃった。海翔くんそばにいてくれる?」

海翔「わかりました。」

30分後、目を覚ますと横には海翔と奏翔さん。

奏翔「戻ったか。海翔何分?」

海翔「30分。」

奏翔「30分か。まだ少し寝とけ。」

さらに1時間後、私はドアの開く音で目を覚ました。
愛川さんが検査結果を持って部屋に来た。奏翔さんと愛川さんが話をしている。
私の隣には医学書を読む海翔が。

「何時?」

海翔「1時だけど。体調どう?」

「んー…。喉乾いた。」

海翔「はい、起き上がって飲める?お兄ちゃん、夢菜起きたよ。」

「ありがとう、大丈夫。」

ゆっくり体を起こし水を飲んで、私はまた寝転がった。寝ないけど、体が辛いから。

奏翔「ああ海翔、わかった。愛川さん結果ありがとうまた後で」

愛川さんが部屋を出た。

奏翔「夢菜、またヘモグロビン下がってる、これは鉄欠乏性だなぁ、後、血圧こんなんじゃ毎日体調悪いだろ。腕貸して脈測る。」

「はい」

私は布団から腕を出した。奏翔さんが時計を見つつ、私の脈を図っている。

奏翔「んー、速いしちょこちょこ飛ぶなぁ…」

海翔はソファに座りながら、医学書を読み時折こちらを見る。

奏翔「海翔、全部記録しといて。」

海翔「わかった。」

奏翔「こんな無理して、入院は嫌だ?」

「何日?」

奏翔「3週間は欲しいな」

「嫌です、大学始まったばっかだし」

奏翔「そしたらとりあえずGWは病院。」

「嫌、遊びたい…ダメですか?」

奏翔「ダメだ、自分の体分かってんのか、無理しすぎだ。」

「奏翔さん、怒ってる。海翔怖い。」

奏翔「あぁ、怒ってるよ、体大切にして欲しいから」

海翔「まぁ、兄ちゃんそれぐらいにして。夢菜、お兄ちゃんは夢菜が心配なだけだから。頑張りたいのはわかるけど体壊しちゃ元も子もないし」

「わかった」

病気のこと、これからのことを色々話していたらまたドアが開いた。

ガチャ…あっ省太先生だ。

省太「あっ、全員いる」

奏翔「ちょうど、夢菜のこと叱ってたとこ。入院させる」

省太「お前、そこまで…」

奏翔「お前、これ見ろ。」

省太「夢菜、体無理しすぎ。で、左腕見せて」

「嫌」

省太「見るだけだから、もうカサブタだろうし。」

省太先生に袖をまくられた。省太先生は傷を見ながら悲しそうな顔している。

「ごめんなさい。」

省太「また、色んなことに気使って疲れてるんだろ。いいよ。俺の部屋行くか。起きれる?」

「うん」

2人で省太先生の部屋に行き、奏翔さんは仕事に戻り海翔は家に帰った。
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