同期のあいつ
「お前が手を回したのはわかっていたんだ。でも、終わったことだし、俺のためにしたことだと納得した」
「じゃあ、それでいいじゃないの」
「終わっていればな。でも、そうじゃなかったから怒ってるんだろうが」
今度は俺の声がでかくなってしまった。

「俺は何度も言ったよな。かばってもらってもうれしくなんてない。もう何もしないでくれって」
「髙田・・」
彼女の唇が震えている。

「昨日のデート、三和物産の件をもみ消すための交換条件だったんだろ」
「どうしてそれを」

そうだよな。そこを聞くよな。
説明するためには話さないといけないことが出てくるんだが。

「そのことは、私と、兄さんと、白川さんしか知らないはずなのに。何で髙田が知っているの?」

「・・・潤に聞いたんだ」
「潤?」
「白川潤。お前のお見合い相手」
「え?はあ?どうして・・・」

フー。
俺は大きく息を吐いた。

「潤は俺の幼なじみだ」
「はあ?だって、昨日は初対面みたいな挨拶をしていたじゃない」
「それは・・・」

「何、2人で私をからかっていたの?」
「違う、そうじゃない」
「じゃあ、わかるように説明して」
形勢逆転とばかり、鈴木の口調が強くなった。

「わかったちゃんと話すから、聞いてくれ」
俺は一旦腰を上げると、鈴木の方に体を向けるように座り直した。
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