同期のあいつ
うぅーん。
伸びをする音が背中から聞こえた。

7:00
遅刻しない為には、そろそろ起きないとマズイ。
さあ、どうしたものかしら。
 
「先にシャワー行く?」
突然耳元にささやかれた低音。

私は動くことができない。

え、えっと…
「あぁ、後でいい」

「じゃあお先」
「うん」

トランクスのみを身につけ、堂々と歩いて行く潔い男。
今まで見たこともなかったけれど、細マッチョだったのね。


浴室から聞こえてくる水音。

「ハー」
小さな溜息を1つついてしまった。

私の中で、高田は男ではなかった。
もちろん180センチを超える長身であることも、どちらかというと塩顔でさわやかな二枚目な事もよくわかっている。
同期の中でも人気があったし、狙っている子もいた。
けれど、高田はいつも控えめで、浮いた話を聞いたこともなかった。
まさかこんな展開になるなんて・・・

体は昨日の夜関係があったことを物語っている。
この倦怠感も、下半身の鈍い痛みも間違いない。
寝てしまったんだ。それも、高田鷹文と。
真面目で誠実な仕事ぶりが評価され28歳の若さで営業課長。
私にとっては信頼できる同期であり、直属の上司でもある。
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