同期のあいつ
うぬぼれに聞こえると嫌だけれど、彼にとっても私は特別なんだろうと思ってきた。
偶然同じ部署に配属された唯一の同期で、成長も挫折も一緒に乗り越えてきた。
『同志』って言葉がぴったりの存在。
その証拠に、彼は私のことを「鈴木」と呼ぶ。
先輩も後輩も女子に対しては◯◯さんとしか呼ばないのに、私には呼び捨て。
それが私は密かにうれしい。
だからといって、異性としてのときめきはない。
高田はライバルで、同じものを求めて戦う仲間。
穏やかであまり感情を出さない高田も、決して優しいだけではない。
特に私には厳しいことも言う。
仕事で失敗して上司に𠮟責され泣きそうになった時、当然みんなは優しい言葉で慰めてくれる。
「一華はよくやっているよ」
「部長の言うことなんて気にしちゃダメだ」
ポンと肩を叩かれ、少し気分も上がる。
でも、それだけ。
一時しのぎの慰めは、単なる逃げにしかならない。
けれど高田は、
「鈴木、お前はこれでいいのか?今何をすべきかを考えろ」
穏やかな口調で、もっと頑張れって励ましてくれる。
「鈴木、負けるな」
私よりも悔しそうに、唇をきゅっと結んだあいつ。
私は高田のお陰で頑張って来られた。
そうやって6年も過ごしてきたのに・・・
はあぁー、どうしよう。
この状況をなんとかしなくては・・・
逃げる?
それは、私らしくない。
でも、今は合わせる顔がない。
よし、ここは1度退散しよう。
ベットを飛び出して、ソファーに積まれた昨日の服に袖を通す。
『ごめん先に出ます。昨日は酔っ払っていて、記憶がありません。申し訳ないけれど、忘れてください。鈴木一華』
テーブルにメモを残し、私は部屋を出た。
偶然同じ部署に配属された唯一の同期で、成長も挫折も一緒に乗り越えてきた。
『同志』って言葉がぴったりの存在。
その証拠に、彼は私のことを「鈴木」と呼ぶ。
先輩も後輩も女子に対しては◯◯さんとしか呼ばないのに、私には呼び捨て。
それが私は密かにうれしい。
だからといって、異性としてのときめきはない。
高田はライバルで、同じものを求めて戦う仲間。
穏やかであまり感情を出さない高田も、決して優しいだけではない。
特に私には厳しいことも言う。
仕事で失敗して上司に𠮟責され泣きそうになった時、当然みんなは優しい言葉で慰めてくれる。
「一華はよくやっているよ」
「部長の言うことなんて気にしちゃダメだ」
ポンと肩を叩かれ、少し気分も上がる。
でも、それだけ。
一時しのぎの慰めは、単なる逃げにしかならない。
けれど高田は、
「鈴木、お前はこれでいいのか?今何をすべきかを考えろ」
穏やかな口調で、もっと頑張れって励ましてくれる。
「鈴木、負けるな」
私よりも悔しそうに、唇をきゅっと結んだあいつ。
私は高田のお陰で頑張って来られた。
そうやって6年も過ごしてきたのに・・・
はあぁー、どうしよう。
この状況をなんとかしなくては・・・
逃げる?
それは、私らしくない。
でも、今は合わせる顔がない。
よし、ここは1度退散しよう。
ベットを飛び出して、ソファーに積まれた昨日の服に袖を通す。
『ごめん先に出ます。昨日は酔っ払っていて、記憶がありません。申し訳ないけれど、忘れてください。鈴木一華』
テーブルにメモを残し、私は部屋を出た。