婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する
「この“悪魔の塔”にございます。私はこの塔と一生を添い遂げることを、心に誓いました」

 前世で成し得なかった憧れのネクラ生活。

 転生によってようやく手に入れたというのに、こんな序盤で崩されてたまるものか。

 アンジェリ―ナの返答を聞くなり、ビクターが愕然とした表情を浮かべる。

「塔……? 塔が相手であれば、決闘を申し込むこともできないではないですか……」

「そうですね。諦めてくださいまし」

 真っ青な顔でベッドにストンと腰を落としたビクターを、アンジェリ―ナは勝ち誇った笑みで眺めた。

「おわかりいただけましたなら、どうか今日中にさっさと出て行ってくださいませ」

 そして優雅に身を翻すと、ララと連れ立って退室したのだった。

< 70 / 206 >

この作品をシェア

pagetop